お子様への一生に一度の
贈り物だから
プロが教える後悔しない
雛人形の選び方

雛人形のご購入を検討中の皆さん、
「値段はできるだけお手頃で、
デザインがいいものが欲しい」
と思ったりしませんか?

雛人形は家や車、宝石と同じく、ひとつの大事な財産。お子様にとっては一生にただひとつの、長くつき合う大切なパートナーとなります。

例えば家を購入する際、材質やスペックを気にせず、見た目と値段だけで決める方はほとんどいませんよね。お雛様も同じです。

女の子が生まれたご家族にとっては、かわいいお子様の大事な初節句、初めての晴れ舞台です。

初節句を迎えるにあたって、MAHOROBAは、雛人形のことを少しでも知っていただき、雛人形を飾る春が待ち遠しくなる、とっておきのお人形を選んでいただきたいと考えています。

値段が高ければいいというわけではありませんが、安いものには、やはりそれなりの理由があるのも事実。

このページではプロ目線で雛人形を選ぶ際のポイントをお伝えします。
ご家族やご親族とも是非記事をシェアして、雛人形ご購入の際にご活用いただければ幸いです。

サイズ・飾り方で選ぶ

最近の住宅事情では、お雛様を飾るのに躊躇されるかたもいらっしゃると思います。
「うちは飾るスペースがないからなぁ……」と悩んだり、サイズ優先で考えたいお客様は、飾る場所の大きさとイメージから考えるのをおすすめしています。

リビングの隅、棚や小テーブルの上など、できるだけ家族が沢山過ごし、よく目にする場所であれば、お雛様を飾るのはどこだって構わないのです。

その際、最優先していただきたいのは飾台の間口(幅)です。基本的に間口の広さで飾れるお人形の種類が大まかに決まります。
もちろん例外もあります。木目込み人形の段飾りで70cmを超えるものや、衣裳着の収納飾りで60cmを下回るものなども、最近は見かけます。それぞれの雛人形が映える間口の、おおよその目安だとお考えください。

AR機能のご紹介

ご自宅で気軽に試し置き

スマホのAR機能を使って、カメラで映したお部屋に3Dのお人形を実寸で表示。
アプリ不要で、気軽にご自宅でレイアウトやコーディネートをお楽しみいただけます。
「実際に飾ってみるとどんな感じなんだろう?」 「このスペースに本当に置けるのかな?」とお悩みの方は是非お試しください。

平飾り

平飾り

一枚台と屏風にお内裏さまとお雛さまだけのシンプルなタイプ。手軽にどこでも飾れて、限られた収納スペースにも収まります。

収納飾り

平飾りと同じくお内裏さまとお雛さまだけで、飾台が箱になっていてお人形とお道具が中に納まるタイプ。棚などがなくても、床に直置きで飾れます。

三段飾り

三段飾り

階段状の飾台に三人官女と重箱、お篭、牛車などを加えた豪華なタイプ。サイズは大きいですが、存在感があり華やかさを演出できます。

つるし雛

動物、お花、お野菜など、縁起のよいさまざまな小物を吊るした可愛らしいお飾り。お雛様と一緒に飾ることで、よりにぎやかに楽しんでいただけます。

お道具

お雛さまを華やかに演出してくれる雛道具たち。お雛様と一緒ににぎやかに飾っていただくのはもちろん、お部屋のインテリアにもおすすめです。

雛人形の種類で選ぶ

ひとくちに雛人形といいますが、大きく分けて 「衣裳着人形」と「木目込み人形」の2つがあります。

普通、みなさんがイメージするお雛様は、衣装着人形のほうではないでしょうか。華やかに仕立てられた十二単を着ています。一方、木目込み人形とは、木の胴体に衣裳の端を埋め込んでつくる小粒で可愛らしいもの。一見衣装布が張り付けられているように見える人形です。

ともに、江戸時代から続く伝統的な雛人形で、どちらがいいというものではなく、デザインの好みや条件で選んでいただければ良いと思います。

衣裳着人形

お顔について

雛人形を選ぶ時、多くのお客様はまずお内裏の顔を見られると思います。
お内裏様がかっこいいかどうか、お雛様が美人系か可愛い系か……大きく分けて2種類、京風と関東風に分かれます。

京風の顔は切れ長の目に鼻筋の通った、とても高貴で細面のお顔です。ひなまつりが現在の形になった江戸時代中期のころからの伝統的な顔で、いわゆる京美人でモデル風の顔立ちです。一方、関東風の顔は、目がパッチリしていて頬のあたりがふっくらとしており可愛らしく、現代人に近い顔立ちです。俳優・女優やアイドルといったところだと思います。

京風・関東風それぞれの明確な定義はありませんし、人間の顔と同じようにどちらが良いというものではなく、好みのおひな様を選んではいかがでしょうか。お子さまの顔を思い浮かべながら、「娘・孫はモデル系だろうか?それともアイドル系?」などと考えながら、ひとつひとつ、おひな様のお顔をじっくり見て決めていくのが、選ぶ楽しみのひとつだと思います。

専門的な説明

本来の、伝統的なお人形の顔(頭)は、桐塑頭(とうそがしら)と呼ばれます。
固めた桐の粉に、ハマグリやカキの殻でできた胡粉(ごふん)という粉を重ねて塗って仕上げる頭です。型をまったく使わず手作りするため、ひとつひとつ、表情が微妙に異なります。熟練の職人技が必要ですし、製作に時間と費用がかかるため、たいへん高級なお雛様です。

一方、流通している大半のお人形に使用されている頭は石膏頭(せっこうがしら)です。
石膏を使用して、型を使って成形し胡粉で仕上げる頭です。型を使用するため表情のバラつきが少ないこと、比較的安価であることや、職人さんの減少による供給量減を解消できるという製作側の利点もあります。表情や品質も桐塑頭と比べて遜色ありませんし、型作りから塗りや抜き(目や口を彫る工程)に至るまで、丁寧に伝統的な手作業で行われています。

⚫︎ 髪の毛の生え際や眉の書き毛が美しいか
⚫︎ 髪結がきれいにそろっているか
⚫︎ 髪の毛が正絹か合成繊維か
⚫︎ 髪飾りがアルミ製かプラスティック製か
⚫︎ 顔の表面に艶があるか
⚫︎ 桐塑製であれば高級品 ("桐塑頭"あるいは"本頭"と記載)

衣裳について

ひとの服と同じように実にさまざまな柄・色の衣装があり、着物に使うような豪華な金襴や友禅染などの織物、着物の帯地をそのまま使用した高級品まで、その種類は幅広く、なにを基準に選んだら良いのか、迷ってしまうと思います。

ここ最近は、水色やパッションピンク、パステルカラーの明るい色で、花柄やうさぎなどの動物柄が入ったとてもかわいい衣装が増えています。

一方で、昔から天皇家官位が着用していた色(有職)で、和文様など、比較的地味な柄が使用された金襴の衣装が伝統的なものです。

選ぶ感覚は洋服とは少しちがうかもしれません。しかし、伝統的かどうかはひとまず置いておき、お子さまのイメージにいちばん合うものを選んではいかがでしょうか。たとえばシックで高貴なドレスと、流行の色・柄を取り入れた華やかなドレス、お子さまに似合うのはどちらですか?
おひな様の衣装も同じ感覚で選ばれれば良いと思います。

専門的な説明

お内裏様とおひな様の衣裳は金襴と呼ばれる布を使用したものが主流です。
金襴とは繻子(しゅす=サテン)などの地の緯糸に、金箔や金糸を使い紋様を経に織り出した、古来中国に起源を持つ伝統的な織物のことです。
材質は、絹、化学繊維と絹が混ざったもの、化学繊維と、おもに3つあります。絹が100%の生地を特に正絹(しょうけん)といい、その他、絹とポリエステル等の化学繊維やレーヨンとの合成、化学繊維のみを使用したものもあります。
見分けかたとして、絹は光沢があり手ざわりが非常になめらかでやわらかく、化学繊維はごわつきがあります。
正絹のひな人形は最高級品で生産数も限られ、希少性がありますが、最近では化学繊維の質も向上し、正絹でなくても、非常に綺麗な仕上がりになっています。

次に着物の帯を衣装に仕立てた雛人形ですが、そもそも帯自体が一本数十万円、中には百万円以上のものもありますので、大変高級な雛人形となります。柄ゆきや材質は、基本的には金襴と同じですが、柄が格段にキメ細くなります。
通常、雛人形のための金襴は人形用に製作されたものです。人間が実際に身につける帯の金襴の場合は、見える面積が広く、柄が大きくかつ細かく表現しなければ美しく見えないからです。

衣裳は着せかたにも種類があり、全身に重ね着のもの、上半身だけ重ね着したもの、襟と袖の表に見える布が重なった部分だけ重ね布を貼りつけたものの3つがあります。
袖の中から向こう側が見通せるものが着せてあるタイプのお人形で、布の枚数が多い分、重厚感と高級感があるのが特徴です。お店の商品説明に「本着せ」などと書いてあるものがこのタイプのお人形です。

⚫︎ 材質は何か(絹100% or 絹と化学繊維の合成 or 化学繊維)
⚫︎ 色・柄がはっきりして綺麗かどうか
⚫︎ 「本着せ」かどうか

手や足について

手・足には木製とプラスティック製があります。

木製は職人の手作業による木彫りで、頭と同様に胡粉で白く塗り上げたものです。指の1本1本がハッキリしています。

プラスティック製は型にはめて作られます。樹脂は質感が独特で光沢があり、ツルツルとした質感です。木製の物よりも指の1本1本はハッキリしていません。

木目込み人形

お顔について

最近ではコンパクトな木目込み人形も大変人気で、どれもややふっくらしており優しい顔なのが特徴です。主に「筆で描き入れるもの」と「目の部分にガラスなどを入れるもの」2種類あります。

目を筆で書き上げる「笹目(=書き目)」と呼ばれる目は人形師 初代原米州が考案したとされています。笹目は筆を横に幾重も重ねて描きあげていきます。細やかな線が織りなす優しい表情は、木目込み人形ならではとして、たくさんの作家に受け継がれています。

ガラス目などを入れた「入れ目」のお顔は江戸時代に流行した技法です。入れ目は製作過程上、一度胡粉を塗ってから改めて目を切り出すので「目抜き十年」といわれるほど大変高度な技術と修練が必要な作業です。

どちらも優しい顔になっていますが、「笹目」は比較的落ち着きがあり、一方「入れ目」は目力があるだけに意思が感じられるような気がします。

衣裳について

木目込人形の胴体は、桐塑と呼ばれる桐の粉を糊で固めた木のような材料を型抜きし、職人の手で削って修正します。そのボディに彫った溝に直接布地を差し込み(=木目込み)、しっかりと貼り付けながら着ているように仕上げます。

衣装の布地は絹織物が主流です。絹は伸縮性があるので木目込みをするのに適しています。材質は金襴、綿、縮緬(ちりめん)などが多く使われています。
衣裳着人形に比べて全体的なシルエットが小さくて可愛らしいため、斬新でかわいい色や柄の布地が使われています。

帯人形

高級な着物帯を人形衣裳に仕立てたとても希少な雛人形。

衣裳着人形

華やかに仕立てられた十二単を着たお雛様。

木目込み人形

木の胴体に衣裳を埋め込んでつくる小粒で可愛らしいお雛様。